(ZENdb)退魔巫女戦騎トリプルランサーNEXT 魔女ヨミの憑き

出演者:(レッドランサーの姉織田ひなた/女幹部ヨミ)奈良平愛実 (レッドランサー)風愛ことり(イエローランサー)神楽坂茜 (ブルーランサー)空峰凛

レビュー

人気シリーズ、トリプルランサーです。前々作までレッドランサーであった織田ひなたが、やられて死んでしまったことによって妹の織田ひかりにレッド交代。今回は、打って変わってひなた役の奈良平愛実さんが悪の女幹部役で登場。話の流れとしては、間違いなくひなたは死んでいて、魔吸耳族が新レッドランサーである妹ひかりを罠にはめようとし似せて作られただけの別の存在であり、実は生きていたとか、洗脳されていたわけではないようだ。

ヒロインが別作品で悪のヒロイン役を演じることは、スーパー戦隊シリーズでは萩原 佐代子さんが演じる超新星フラシュマンのレー・ネフェルが有名で、2年前の科学戦隊ダイナマンの立花レイ / ダイナピンク役から、一転して悪の女幹部を演じている。今作は、同じシリーズで姉に似せて作られたという設定を利用してのレッドを翻弄する展開は、シンプルだが特撮ならではの良い影響をストーリーに与えていたと思う。また、コスチュームに関しても、意図的なのかはわからないが、レー・ネフェルがモチーフであると思われる。

女幹部ヨミは、かつてレッドランサーというヒロインとはかけ離れた卑劣な手段を使って現レッドランサーを陥れる。実は生きていたとか、過去の記憶が時々よみがえるとか、ドラマティックな感動的なシーンは無く、姉に似ていることを活かしてレッドを攻撃から躊躇させたり、最後に命乞いをしたりと、悪100%振り切っているところが良い。そうそう、それでいいんだよ、それだから、最期のヤラレシーンが映えるんだよ、という感じです。

演じている奈良平さんも、いままで数々のヒロインと比較して、今作の悪役のギャップがとても活きており、表情や、アクションをはじめとした動き、メイクもいままでと違う印象でとても良かったです。露出がほぼないが、ヒョウ柄とメタルの融合というセクシーな衣装も、武器として鞭を使用するところもあわせてキャラクターの完成度が高いと思いました。

そして何といっても最期のヤラレシーン。屋内スタジオでのランサーと剣との対峙で、徐々に追い込まれていき、ヒロイン3人に挟まれてしまい、思わず「ひかり、やめて、痛い、お願い」と、レッドをまた騙そうとするが、「そんな言葉はもう通用しないわ、これで終わりよ」と必殺技を発し、腹部に炎の光線がクリーンヒット。苦しそうな表情と、ドスの効いた悲鳴を発し、持っていた剣を放り投げて、足を広げ、バンザイのポーズで苦悶に満ちた表情ののち爆死した。まさに、自分のせいで姉を失ってしまったというトラウマを断ち切り、ヒロインとして大きく成長したことがわかる戦いだったと感じさせるが、いままでヒロインだった存在がこのように勧善懲悪に徹し壮絶にヤラレること、そして、表情や声、長めの尺であったことが近年のZEN作品の中では歴史的に良いシーンとなった。思い切って演じてくれた奈良平さんに感謝したい。

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